お客様について
今回のお客様は、東京都の人材紹介会社、イタンジ様です。
医療・化学業界に特化しており、専門性の高い人材紹介に強みのある会社です。
新規に会社を設立されるとのことで、転職希望者や受入企業といった関係者の情報を管理するシステムを利用したいとのご要望でした。
いわゆるCRM(Customer Relationship Management:顧客管理システム)ですね。
転職者の情報とメール履歴を紐付けたり、専門的な情報項目を管理したりといった要件があったので、完全に出来合いのものではなく、カスタマイズ性のあるプラットフォームでの構築が必要だとの話になりました。
というわけで、今回はシステム構築のテーマです。
提案の流れ
お客様の主なメンバーは人材紹介のエージェントたち。
営業に集中するため、わかりやすいことが重要なポイントとなりました。
システム操作習熟に手間取るのは避けたいところ。
スタートアップなので、よりスピード感が求められます。
事業開始に間に合わせるため、短納期での開発が必要となります。
予算も限られているので、コーディングは原則行わずに済ませたいところ。
プログラムのコードを書くと、機能の自由度は向上しますが、大幅に工数が増えてしまいます。
そうなってくると、ある程度パッケージ化されていて、かつカスタマイズが容易にできるサービスが必要です。
カスタマイズの自由度、UIのわかりやすさ、いくつかの要素を検討し、salesforce等との比較を行った結果、サイボウズ社のアプリプラットフォームであるkintoneを採用することになりました。
kintoneは私のイチオシ提案でもあったのですが、ポイントは圧倒的な「わかりやすさ」です。
もっと高機能なサービスはいくらでもありますが、まずどこを触っていいのか分からないものがほとんどです。
その点、kintoneは「見れば分かる」というとっつきやすさ。
意外とこれができていないサービスが多いものです。
また、ドキュメントも分かりやすい。
当たり前に思われるかもしれませんが、「読めばわかる」。
IT系技術ドキュメントは読んでも分からないものが相当数あります。
ドキュメントを理解するために、2~3のリファレンスを片手に格闘する、なんてことはザラです。
機能の用例や解説も充実しています。
また、ベンダーの導入時のサポートが得られたのも大きかったです。
ミニマムライセンスからのスタートにも関わらず、オンラインデモを実施してくれたり、提案内容の相談に乗ってくれたりと、安心感がありました。
機能面でも幸いにして、kintoneの基本機能が充実していたので、お客様の要望である画面間のデータ連携も満たせる見込みが立ちました。
さすがに専用のデータベース製品に比べるとできることの範囲は狭いものの、工夫次第で十分なデータ連携を実現できました。
プロジェクトについて
さて、プロジェクトの進め方ですが、古典的なのはウォーターフォール型。
要件定義をやって、設計書を書いて、プログラムを書いて、テストして、という流れです。
どこまで進んでいるかが分かりやすい反面、テストが始まっているのに、やっぱり設計を変えたい、となると手戻り工数が膨大になります。
大きいシステムには適していると言われている反面、小回りが聞かないというデメリットがあります。
今回は、規模が小さめということもあり、基本的にはスパイラルモデル(作って試して、また直す)を採用しました。
ただし、ウォーターフォール型とのハイブリッドです。
要件定義の部分、すなわち、こういうシステムにしたい、という基本的な部分については明確に分けました。
というのも、途中で規模感や予算枠が変わると、発注者側も受注者側も無用の手間を取られることになります。
なので、契約についても、要件定義の部分と構築の部分で分離して2段階にしました。
要件を決めた上で、画面や機能を作り込み、お客様に確認してもらって手直しを行う、というプロセスを繰り返し、無事に予定期間内に完遂することができました。
今後の展望
もっとも、一定ラインを超えて難しいことをしようとすると、ぐっとハードルが上がります。。
データベースにしても、SQLが実行できるRDMBSではありませんし、プログラム言語もエクストラ機能扱いでJAVA Scriptが使えるといった感じです。
今後、イタンジ社が成長して、より複雑な業務要件に取り組む必要ができたとき、また新たなプラットフォームでの構築が必要になるでしょう。
会社が成長すると、部課ができたり、ガバナンスが高度化したりという組織要件が増えますが、システムも同様に高度化していくものです。
当社もお客様と共に成長していきたいと願っております。